戸田 弘子

(とだ まさこ)

スクールカウンセラー


~公認心理師を目指されるみなさまへ~

 この法律が成立するまでの歴史への評価は様々でしょうし、正直言って潜在的で未解決の問題も含む資格です。確かに独占すべき「名」称はできました。中身をこれから作り上げていくのは、みなさまです。「実」すなわちまことに大切なことは、名を喪った「臨床」という、人と人とが互いに生かされるあり方ではないかと思います。

にゃ~ん

【自己紹介】

 

 個人ブログ法人ブログでぐちぐち申し上げてきたのが、近況の一部です。最初は女流文学をやってました。河合隼雄さんの大衆書全盛期、翻訳されはじめのユング心理学関連書は手当たり次第に読んで、臨床心理学を学びたくて、編入学したら純粋文系には辛い基礎心理学…特に統計法と実験法を履修しないと心理専攻に進めないルールで不本意ながら頑張る。心理学目あてで大学に戻ったものの面白かったのは教育学と社会学、哲学は語学力不足で近寄れず。…大学院に進む際に指導教授と色々あって、その頃からの綱渡り人生。阪神淡路大震災とかで修士3年。臨床心理士試験資格移行措置期限ギリギリ前。なんとかこの隣接領域大学院を出て臨床経験1年も満たさねばならず。亮先生(指導教授)が(適材とかとはほぼ考えずに?)押し込んでくださったのが、某市適応指導教室(現「教育支援センター」)。おかげさまで臨床心理士を滑り込みで取得。

 ところで今だから言いますが、私は子どもが苦手というより怖くて、実習は精神科病院に行きたかった。でも、この岐路に押しやられて行ったのは運命的で然るべきことだったと思えます。子どもを嫌いなのではなく、子どもは大人の本質を真っ直ぐに見透かすから、とても指導者とか支援者とか治療者とかという鎧をつけていては太刀打ちできない、生身でないと向き合うことができないと感じる怖さなのです。ところが、その適応指導教室でわたくしは素晴らしい子どもたちに出会え、厳しく楽しく鍛えてもらいました。子どもたちがお師匠さまでした。わたくしの臨床のあり方の基礎はこの子たちとの出会いと日々のやりとりで築かれたことは間違いありません。

 こんな○○な手口で臨床心理士となってから、母校学生相談を基盤に短大・専門学校の非常勤講師をしつつ、当時流行りの学際的テーマで民俗学会・宗教学会また国際学会で(いわゆる色物の)発表を年毎にかなりたくさんしました。もちろん心理臨床学会でも発表したのですが、結局こうもりみたいに、哺乳類(心理臨床)なのにどこにも落ち着ける居場所がなくて、しかも学術的には一点集中的に深くは極められず、常に垣根(境界)あたりを彷徨いました。そのうち、またまた心理社会的事情でほぼ全ての職を離れ、生家(寺院)のある地元に戻ってきました。現在は公立小学校のスクールカウンセラーと実家寺院で作務と無料相談をしています。公費で気軽に相談に来ていただけるスクールカウンセラーの仕事をできる限りは続けていきたいと思います。でも公認心理師法制度の成立後は、学校現場にもまた変革の波がこの古猫も巻き込もうとじわじわと迫ってきています。

【恩師】

 

井上 亮 先生

詳しくは、個人ブログ「伝説の精神科医は、シャーマンと共に癒す

【学歴】

  • 大阪女子大学(現大阪公立大学)学芸学部人間関係学科卒業
  • 大阪女子大学大学院文学研究科(社会人間学専攻)修了, 文学修士(学位論文「蛇とシャーマン」)
  • 大阪大学大学院文学研究科博士後期課程(文化形態論専攻)満期退学

【職歴】

1996年4月~2007年3月 大阪女子大学 嘱託精神保健相談員
 

学生相談室精神保健相談員・セクシュアルハラスメント防止委員。女子大学である特性から摂食障害をはじめ身体化された症例に多く対応する。精神疾患に起因すると推測される重篤な学習障害、妄想的思念、自死念慮を訴える事例も少なく無く、学内関係者と充分な協議の上、信頼できる医療機関への紹介、保護者との面接も随時行った。

 

1997年4月~2001年3月 堺市教育委員会教育センター 非常勤嘱託員
 

適応指導教室(不登校児童・生徒のためのステップ機関)にて教育指導主事と協力して箱庭療法等の心理支援を行う

 

1999年4月~2000年3月 大阪ハイテクノロジー専門学校 非常勤講師
 

「心理学」を担当

 

2000年4月~現在 兵庫県教育委員会 非常勤嘱託員
 

スクールカウンセラーとして、尼崎市、川西市、西宮市の小・中学校(拠点校・連携校併せて)30校余りの勤務を経験

 

2003年4月~2006年3月 堺女子短期大学 非常勤講師
 

「児童福祉」「保育学」「児童文化論」を担当

 

2011年4月~2014年3月 宇部フロンティア大学 臨床教授
 

心理臨床実践を指導

 

【主な著作】

實川幹朗編『心理療法とスピリチュアルな癒し――霊的治療文化再考』春秋社(春秋社Amazon

筆名上月游晏で、第3章「臨床心理学の産土への根付き――「オガミヤさん」と心理臨床家」を担当

 

稲垣応顕・坂井祐円編『スクールカウンセラーのビリーフとアクティビティ――児童生徒・保護者・教師とどう関わるか』金子書房(金子書房Amazon

第5章「スクールという臨床――Being…在りつづけること」および第8章を担当

 

日本人間性心理学会編『人間性心理学ハンドブック』創元社(創元社Amazon

第6章 Section7「生と死の視点」を担当

 

坂井祐円・西平直編『無心のケア』晃洋書房(晃洋書房Amazon

コラム「being再考」を担当

 

【関連サイト】